経営事項審査(経審)とは?岐阜県の流れと有効期間

公共工事を元請として直接受注するには、経営事項審査(経審)を受けていることが前提になります。「経審では何を見られるのか」「岐阜県ではどこに申請するのか」「一度受ければ何年もつのか」——この記事では、経審の中身と岐阜県での受け方、有効期間の数え方を、岐阜県が公表している手引きに沿って整理します。

目次

経営事項審査(経審)とは|公共工事を直接請け負うための審査

岐阜県は経審を「国、地方公共団体等が発注する公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が必ず受けなければならない審査」と説明しています。ポイントは「直接請け負おうとする」という部分です。国や県・市町村から元請として仕事を受けるなら経審が必要で、民間工事だけ、あるいは公共工事でも下請としてしか入らないなら、経審そのものは求められません。

経審は、会社の中身を数字に置き換える手続きです。評価は5つに分かれ、それぞれを組み合わせて総合評定値(P点)という1つの数字にまとめます。手引きによれば計算式は「0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W」、点数の幅は最高2,159点・最低163点です。

記号見られるもの(かみ砕くと)
X1完成工事高。年間どれだけの工事を仕上げたか
X2自己資本額と平均利益額。会社の体力
Y経営状況。決算書から見た財務の健全性
Z技術職員の数と元請完成工事高。技術力
Wその他の審査項目(社会性等)。労働福祉や法令遵守など

経審を受ける前にやること|決算変更届と経営状況分析

経審は単独では受けられません。岐阜県の手引きに載っている申請フローは次の順番です。

  1. 事業年度終了届(決算変更届)を土木事務所へ提出する
  2. 登録経営状況分析機関へ経営状況分析を申請し、結果(Y)の通知を受け取る
  3. 管轄の土木事務所に経審の申請(受審)日を予約する
  4. 岐阜県知事へ経営規模等評価の申請と総合評定値の請求を行う
  5. 経営規模等評価結果(X、Y、Z)および総合評定値(P)の通知を受ける

起点は決算変更届です。岐阜県の建設業許可申請の手引きでは、事業年度終了届は「毎事業年度終了後4か月以内」と定められています。これが済んでいないと経審の入口に立てません。数年分たまった状態から公共工事を目指す場合は、まず過年度分をさかのぼって整えるところからになります。届出の中身は決算変更届とは?毎年の提出を忘れるとどうなるかを解説で取り上げています。

次の経営状況分析(Y)は、岐阜県ではなく国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関へ申請します。手引きには「添付書類及び手数料等については、各登録経営状況分析機関へ直接お問い合わせ下さい」とあり、費用や納期は機関ごとに異なります。受け取った結果通知書は、経審の申請時に原本を提出します。

見落としやすいのが総合評定値(P)の請求です。手引きには「総合評定値(P)は、建設業者から許可行政庁へ総合評定値の請求があった場合に限り」通知するとあり、あわせて「各発注機関の入札参加資格申請において、総合評定値(P)の取得を義務付けていることが多いためご注意下さい」と注意喚起されています。請求しなければP点は出ません。

岐阜県での受け方|電子申請(JCIP)と紙申請(土木事務所)

岐阜県知事許可の場合、経審は県庁技術検査課で実施する「電子申請」と各土木事務所で実施する「紙申請」のどちらかを選べます。担当は岐阜県県土整備部技術検査課(建設業係、県庁12階、電話058-272-8504)です。

電子申請紙申請
使うしくみ建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)紙の申請書を持参して対面で受審
審査を行う場所県庁技術検査課主たる営業所を管轄する土木事務所
事前準備GビズIDの取得が必要往復はがき、またはLoGoフォームによるオンライン申込み
申込みの期限土木事務所への申込みは不要。前月20日までの申請を翌月の指定日に審査受審希望日の2週間前までに申込み
手数料の払い方JCIPを経由したインターネットバンキング(F-REGI)のみ審査後に土木事務所のレジでキャッシュレス決済または現金
審査日の来所不要(当日は連絡が取れる体制が必要)必要

電子申請のスケジュールは、県が「3月21日〜4月20日に申請→5月の指定日に審査」という例を挙げています。20日を1日過ぎれば審査は1か月後ろにずれます。紙申請の会場は岐阜・大垣・揖斐・美濃・郡上・可茂・多治見・恵那・下呂・高山・古川の各土木事務所で、令和6年10月1日からは往復はがきに加えてLoGoフォームでの申込みも可能です。

結果通知書はどちらでも申請者本人宛に郵送されます。県は「通常申請した月の翌月の下旬頃発行しますので、時間的余裕を十分に見込み、早めに申請して下さい」と案内しています。結果通知書は再発行できません(紛失時に写しの交付は受けられます)。

岐阜県の経審手数料|8,100円+1業種2,300円が基本

手数料は建設業法施行令および岐阜県土木関係手数料徴収条例の定めにより、次のとおりです。両方を同時に申請する場合は合計額になります。

区分金額
経営規模等評価8,100円に、評価を受けようとする建設業1業種につき2,300円を加算した額
総合評定値通知400円に、通知を受けようとする建設業1業種につき200円を加算した額

3業種で両方を申請するなら「8,100円+2,300円×3業種=15,000円」と「400円+200円×3業種=1,000円」で合計16,000円、という計算です。業種数が増えるほど上がりますので、実際に入札で使う業種を見極めることになります。

納付方法は続けて変わっています。収入証紙の販売終了に伴い、令和8年1月の紙申請からは審査後に土木事務所のレジでキャッシュレス決済または現金で納付する方式になり、従来の証紙納付書に代わって「経営事項審査手数料納付方法確認書」を持参します。手元の岐阜県収入証紙は使用期限の令和8年9月末まで使えます(収入証紙の販売終了と経過措置の詳細はこちら)。さらに令和8年4月からは岐阜・恵那・高山の3土木事務所でオンライン納付が追加され、仮申請は審査日の1週間前まで、本申請は審査当日に完了させる必要があります。金額は条例で定められているため改定される可能性があり、申請前に県の最新のお知らせをご確認ください。

経審の有効期間は審査基準日から1年7か月

手引きには「結果通知書を取得した建設業者が、国又は地方公共団体等の発注者と請負契約を締結できるのは、当該経営事項審査の審査基準日(決算日)から1年7ヵ月の間に限られます」とあります。審査基準日は原則として決算日です。ここで押さえておきたい注意点が2つあります。

  • 1年7か月をまるまる使えるわけではない。県は「有効期間は、経営事項審査の申請時からではなく、結果通知書を受理した時点からです」としています。決算日から申請までに時間をかけるほど、実際に公共工事を請け負える期間は短くなります。
  • 切れてから慌てても前期分はさかのぼれない。期間が切れた後の申請自体は可能ですが「直近の事業年度の終了日以降に前期の事業年度に係る申請はできません」。手引きの例では、令和7年3月31日を基準日とする申請は令和8年3月31日まで可能で、令和8年4月1日以降は不可とされています。

公共工事を継続して受注するなら、有効期間が切れ目なくつながるよう毎年同じサイクルで受け直すことになります。決算日を起点に並べると次のとおりです。

時期やること
決算日(=審査基準日)ここから1年7か月のカウントが始まる
決算日から4か月以内事業年度終了届(決算変更届)を土木事務所へ提出【法定期限】
届出後、速やかに登録経営状況分析機関へ経営状況分析を申請し、結果通知書を受け取る
前月20日まで(電子)/受審希望日の2週間前まで(紙)経審の申請または申込み
申請した月の翌月下旬ごろ経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書が郵送で届く

県も「事業年度終了届の提出後、速やかに経営事項審査の申込を行い、期限切れとならないように計画的に申請してください」と呼びかけています。5年に一度の建設業許可の更新とは別に毎年このサイクルが回りますので、社内で担当者と時期を決めておくと管理がしやすくなります。

令和8年7月1日から経審の審査項目が変わりました

令和8年7月1日以降に申請する経審から、新しい審査項目が適用されます。岐阜県が公表している改正内容は次の3点です。

  • 社会保険の加入の有無に関する審査項目が削除。雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入状況に係る審査項目がなくなります
  • 「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言の有無が追加。審査基準日が宣言日以降であり、宣言書と誓約書(様式第7号)が提出されている場合に加点されます
  • 建設機械の保有状況に「不整地運搬車」「アスファルト・フィニッシャ」が追加

これに伴い、様式第25号の14 別紙3「その他の審査項目(社会性等)」と「建設機械の保有状況一覧表」の様式も改正されました。令和8年7月1日以降の受審は改正後の様式で申請する必要があります。加点項目が変わるということは、前年と同じ内容でも点数が動きうるということです。とくに自主宣言制度は審査基準日との前後関係が条件になっているため、次の決算日を迎える前に動けるかどうかで結果が変わります。

経審を受けただけでは入札できません

ここが一番の落とし穴です。経審はあくまで「客観的事項」の審査にすぎません。県は「客観的事項と主観的事項の審査結果を点数化し、格付け等を行います」と説明しています。実際に岐阜県の工事に入札するには、経審の結果を持って入札参加資格審査申請を行い、入札参加資格者名簿に載る必要があります。さらに岐阜県には県独自の主観的事項審査があり、客観点数と主観点数の合計=総合点数で格付けが決まります。

この続きの手続きは入札参加資格審査申請と経審の違い|岐阜県の受付時期で解説しています。なお、公共工事の元請として下請に出す金額が大きくなる場合は、一般建設業許可では足りず特定建設業許可が必要になることがあります(一般建設業と特定建設業の違い)。

よくあるご質問

下請専門でも経審を受ける必要がありますか?

経審は「公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者」が受ける審査です。公共工事に下請としてしか入らないのであれば、制度上は経審がなくても工事はできます。ただし将来的に元請を狙うなら、有効期間が切れ目なくつながるよう早めに1年目の受審を済ませておくほうが、その後の年間スケジュールを組みやすくなります。

決算変更届を出していない年度があります。経審は受けられますか?

岐阜県の申請フローは事業年度終了届の提出が先です。経審の提出書類にも事業年度終了届の申請者控が含まれ、審査対象事業年度に加えて前の審査対象事業年度分の控も必要とされています。未提出の年度があるなら、まずそこを埋めるところからです。何年分たまっているかで作業量が変わりますので、決算書と過去の届出控を集めたうえでご相談ください。

経審の有効期間が切れてしまいました。どうすればよいですか?

切れた後でも申請自体は可能ですが、切れている間は公共工事を発注者から直接請け負うことができません。また直近の事業年度終了日を過ぎると前期分の申請ができなくなるため、間が空くほど選択肢が狭まります。気づいた時点で、直近の決算に基づく決算変更届と経営状況分析から動き出すことになります。

まとめ

  • 経審は、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が受ける審査。下請専門なら通常は不要
  • 順番は「決算変更届(決算日から4か月以内)→ 経営状況分析(登録経営状況分析機関)→ 経審(岐阜県知事)」
  • 岐阜県では電子申請(JCIP・県庁技術検査課)と紙申請(各土木事務所)を選べる。電子は前月20日まで、紙は受審希望日の2週間前まで
  • 手数料は経営規模等評価8,100円+1業種2,300円、総合評定値通知400円+1業種200円
  • 有効期間は審査基準日(決算日)から1年7か月。実際に使えるのは結果通知書を受理してから
  • 令和8年7月1日申請分から審査項目が改正。様式も新しいものに差し替えが必要
  • 経審だけでは入札できず、入札参加資格審査申請が別途必要

経審は毎年めぐってくる手続きで、決算変更届・経営状況分析・入札参加資格審査申請とスケジュールが連動します。「今期から公共工事に出たい」「決算変更届がたまっていて何から手をつければよいか分からない」といった段階でも構いません。初回相談は無料です。お問い合わせはこちらからお気軽にご連絡ください。

出典

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案への適用を保証するものではありません。制度の内容は改正される場合があります。

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